若者の無差別殺人・1

若者を無差別殺人に駆り立てた動機は?


若者による凄惨な無差別殺人が連続して起きました。
一人の青年は、茨城県土浦市の駅構内で刃物を振り回し、1人を刺殺し、7人を負傷させました。
今一人の青年は、岡山駅のホームで、38歳の男性を線路に突き落とし、列車に轢殺させました。
彼らには、共通する心理的背景があります。

それは、自暴自棄です。それは、将来に対する絶望から生じていました。
通常、絶望の刃は自分に向かうことの方が圧倒的です。
毎年3万数千人にも上る自殺者の趨勢は、このことを物語っています。
まさに、「絶望は死に至る病(自殺)」ということです。

しかし、彼らは切っ先を他者に向けてしまいました。
それは、1つには彼らが若かったこと、そしてもう1つは彼らの心の中に怒りや憎しみ、恨みが充満していたためです。
とりわけ、後者は、他者に凄惨な危害を及ぼす圧倒的な動因となります。
彼らはルサンチマンだったということです。
それが絶望と相乗しあって、殺戮への巨大なエネルギーを爆発させたのです。

では、双方の容疑者に、極限の怒り、憎しみ、恨みを鬱積させ、充満させたものは何だったのでしょう?
今まで判明した事実を手掛かりにすると、両者で異なっているようです。
それについて、考察し、コメントを加えてみることにします。

まず、2つの事件の概要を追ってみましょう。
次のようになります。

茨城県土浦市・8人殺傷事件
<23日午前11時ごろ、茨城県土浦市荒川沖東のJR常磐線荒川沖駅構内と東口を結ぶ自由通路で、男が刃物で男女8人を次々と刺した。
県警によると、同県阿見町の会社員、山上高広さん(27)が首を刺され死亡、同市内の女性会社員(62)とつくば市の高3男子生徒(18)が重体。土浦署の男性巡査(29)を含む残る5人も腕などを切られ軽いけがをした。
男は19日に同市内で無職、三浦芳一さん(72)を殺害した疑いで指名手配されていた無職、金川真大容疑者(24)と判明。現場近くの交番前で取り押さえられ、手配の殺人容疑で逮捕された。>(3月23日、産経新聞)

岡山駅・線路突き落とし事件
<25日午後11時7分ごろ、岡山市駅元町のJR岡山駅で、列車を待っていた岡山県倉敷市笹沖、県土木部道路建設課主任假谷国明さん(38)が、男にホームから突き落とされ、入ってきた列車にはねられた。
假谷さんは、病院に運ばれたが、頭などを強く打ち、約5時間後に死亡した。県警鉄道警察隊員は、ホームにいた男を殺人未遂の現行犯で逮捕した。岡山西署は、容疑を殺人に切り替え、詳しい経緯や動機を追及する。
男は、大阪府大東市に住む少年(18)で、今月に大阪の府立高校を卒業したばかりだった。>(3月26日、時事通信)

以下、次回へ。