荒れ狂う投機マネー・2

投機マネーがマンモス化した原因は?


前回は、世界の投機市場の規模について概観しました。
では、世界の投機資金はなぜこれほどまでに肥大したのでしょう?

原因は、2つに大別されます。
1つは国家側による政策的な資金供給、もう1つは民間の金融機関を中心とする投資手段の発達です。

政策的な資金供給を行う主体には2つあります。
政府と中央銀行(日銀など)です。
この資金供給の手法には、主に次のようなものがあります。

低金利政策…公定歩合などの基準金利や政策金利の引き下げによる資金供給。
量的金融緩和政策…日銀の当座預金(金利0%)の残高を増大。
為替介入…政府短期証券(FB)を発行した資金で外貨を購入し、自国通貨を供給。
国債発行…政府の借入による財政支出の拡大。

では、金融機関を中心とする民間側からのメカニズム、動因は何でしょう?
主に次のようなものです。

信用創造の加速…好景気時での貸借の増加により流通貨幣量が拡大。
レバレッジ取引の激増…購入した証券などを担保に借入を繰り返し、資金を拡大。
金融工学の発達…リスクヘッジ(危険分散)など、投資手法の理論的な発展。
デリバティブの激増…多種多様な金融派生商品の開発、販売。
過剰な融資…サブプライムなど各種ローンの拡大。

とりわけ、景気低迷に喘いだ日本は、バブル崩壊後、低金利政策や量的緩和政策を十数年間もとり続けました。
資金はだぶつきました。過剰流動性です。
その一部は、円キャリートレード(円借りの投資)などに流れ、アメリカの資産バブルを加速させました。
海外の資金が、アメリカの金融工学の発達やデリバティブと相乗して熱狂をもたらしたわけです。

アメリカで起こった住宅や株式を中心とする資産バブルは弾けましたが、この巨大なモンスターマネーは依然として萎縮していません。
勢いを温存し、新たな蜜汁を求めて跳梁しようとしています。

以下、次回