毒入り中国食品・2

毒物混入の原因は?


前回の記事に引き続き、中国製・毒入り食品について、コメントを加えます。

有毒物質(メタミドホス、ジクロルボスなどの有機リン系薬物)混入の原因について、中国と日本の捜査当局の認識は大きく相違しています。
とりわけ、冷凍ギョウザによる食中毒事件の原因となったメタミドホスに関しては、見解が真っ向から対立しています。

日本の警察庁は、「日本国内での混入の可能性は極めて低い」とし、中国の公安省は「殺虫剤の投入が中国国内で発生した可能性は極めて小さい」と公式発表しています。

ただ、客観的には、日本国内で混入された可能性はほとんどないと推定されます。
次のような理由からです。
・一旦、中国より荷送りされた食品が、日本国内のルート上で開封される可能性も、その形跡もないこと。
・有毒物質の混入・付着した中国食品が、日本全国で発見されていること。
・日本の科学調査・化学分析は極めて優れ、信用性が高いこと。
・メタミドホスの日本での入手は非常に困難であること。

しかし、一方、中国においても、食品製造の過程で過失により混入、付着した可能性もほとんどないと考えられます。
きちんと管理され、然るべき設備で、衛生的な環境の下に製造が行われていたからです。
不衛生、設備の劣悪さ、管理のずさんさなどに原因は無いということです。

となると、最後に残された可能性は、製造過程で故意に混入されたということです。
個人による犯罪です。
千葉県の家族が食べて中毒を起こしたギョウザに残留していたメタミドホスの濃度は、検疫基準のおよそ3千~1万倍でした。
「大人なら5,6個、子供なら1,2個で死んでいた可能性もある」ということです。

故意でなければ、このような極めて異常な量の毒物が混入されるはずはありません。
設備、作業工程、システムに不備はないと言うことです。
では、その意図は何だったでしょう?
それは、会社に対する恨みによる犯行とも考えられます。

昨年6月上旬から9月上旬まで、天洋食品で働いた男性(19)は、理由もなく2度も賃金をカットされ、「不満がたまっていた」、「各ラインの班長と従業員の間でしょっちゅう口論があった」などと語っています。
彼は、1日13時間前後も働かされるため疲れがひどく、辞めたということです。
このようなことが背景にあれば、激しい怒り、憎しみによる事件が起きても不思議はありません。
怨恨による報復ということです。

日本人に対する鬱積した怨念と言うことも考えられます。
日本軍の中国侵攻で受けた被害です。
親、子供、兄弟、家族を殺され、残虐な仕打ちにあった人々は、いまだ中国内に多くいます。

しかし、高齢な従業員でない限り、直接に辛酸を舐めている人はいません。
戦争で受けた被害が理由で、日本人に対して根深い怒りや憎しみを抱いている人はまずいないでしょう。
可能性は低いと言えます。

もちろん、愉快犯ということも考えられます。
犯罪そのものが目的ではなく、その行為によって恐怖や混乱を招き、その反響・リアクションを楽しむこと目当てです。
日頃の私的な鬱憤の憂さ晴らし、ストレス解消のために起きた事件かも知れません。
この可能性は残ります。

以下、次の記事で。