多額の政治献金、なぜ?

見返りなしに何百万円も献金するか?



自民党の逢沢一郎衆院議員(岡山1区)の6つの政治団体が、詐欺容疑で逮捕された岡山市の「伊豫(いよ)商事」の役員から、2年間で計700万円の献金を受けていたことが、明らかになりました。
伊豫商事は、複数の金融機関から400億円以上の融資を受け、大半が回収不能となっており、現在破産手続き中です。


逢沢事務所は、全国農業協同組合連合会(JA全農)や岡山県農業協同組合中央会(JA岡山中央会)から「伊豫商事は堅実で間違いのない会社」との説明があり、献金を受けたと語っています。


当時、伊豫商事は県内の農協関係の組織が入居するビルに本店を置いていました。
逢沢氏は、7、8年前に支持者から紹介を受け、今回逮捕された大島敏昭容疑者(59)と面識を得ていました。


逢沢氏の事務所では「大島容疑者は、年に2~3回、東京の事務所に来ていたが、特に頼まれごとなどはなかった」と話しています。
本当でしょうか?
にわかには信じ難いことです。


700万円と言えば、庶民には大変な金額です。
多くの国民の2年分もの所得に当たります。
企業も吝嗇(りんしょく)です。損得には敏感です。
そんな簡単に何百万円もポイッと寄付するとはとても思えません。
しかも、伊豫商事は経営の危機に瀕していました。


何か見返りを期待していたはずです。
思惑や目論みがあったはずです。
そう疑わざるを得ません。
そうなると、贈賄の色が濃厚になります。


今回も、献金の受領したのは後援会のような私的性格の強い政治団体でした。
ここには領収書の添付は全く必要がありません。
透明性が極めて低いという特徴があります。
ここが不正の温床になっている可能性は大です。


いわゆる政治団体には、次の3つの種類があります。
1.(政党)政治資金団体…政党へ資金援助をするための団体。1政党に1団体。
2.資金管理団体…自らが代表者となっている政治団体の中から、政治家が指定した
  1つの団体。
3.その他の政治団体…後援会などの政治団体のこと。設置数に制限なし。


このうち、政治資金団体は、政党に所属する極めて公的なもので、個人の恣意が入り込む余地のないものです。
資金管理団体も、1政治家について1つだけ認められた公的な性格の強いもので、不正な操作や隠蔽が難しいと言えるでしょう。


問題は、後援会などの「その他の政治団体」です。
先に述べた通り、透明性が確保されていません。
設立数の制限も設けられていません。(→参照


「その他の政治団体」には、個人から年間1人当たり150万円まで、総額1000万円まで寄付が可能です。(→参照1参照2
「その他の政治団体」を10ほど有し、毎年満額まで献金を集めれば、10年間で10億円ということも理論上は可能なわけです。
実際に、この‘裏技’を利用している政治家も少なくないでしょう。


政治献金に制限を設けるという点では、全くの抜け道です。
逢沢議員も、伊豫商事からの献金の受取にを6つの政治団体を利用していました。


このところ、政治家の不正経理が引きも切らず発覚しています。
まるで底なし沼のようです。
国民の政治家に対する不信と不満は高まり、充満しています。
政治家に対する信頼や敬意は地に堕ちています。
政治家は、まず何より自己改革が必要です。


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