●子供は何年も頑張れるか?
子供がずっと頑張り続けることは可能でしょうか?
勉強でも、スポーツでも、技芸でも同じことです。
生身の人間のやることです。ましてや子供です。
目一杯、何年も頑張り続けさせることは不可能でしょう。
たいてい、歪み、弊害を生じます。
たとえば、中学受験を目指したとします。
子供のレベルでは、余裕がないため、必死に努力し、努力させたとします。
数年間、ひたすら勉強に打ち込み、打ち込ませたとします。
結果、この子供は、どうなるでしょう。
彼は、中学に入学すると、無気力、ないし脱力的な状態に陥る可能性が大です。
エネルギー切れです。
これは、いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」といわれるものです。
5月病は、この典型的な症状の1つです。
しかも、この状態は、それ以後、何年も続いてしまうことが少なくありません。
魂の抜け殻になってしまうかも知れません。
このことは、もちろん中学受験だけに限りません。
高校受験で目いっぱい頑張った子供は、高校入学後にバーンアウトする可能性があります。
大学受験で限界まで刻苦奮闘した子供は、そこで燃え尽きる可能性があります。
幼児教育でスパルタ的な指導、訓練を与えた場合でさえも、同じ結果をもたらすと考えてよいでしょう。
人間が一生の中で、力の限り頑張り続けられるのは、たかだか3年程度です。
10年も、20年もずっと、目一杯が威張り続けることはできません。
途中で、心身共に大きな歪み弊害を生じるでしょう。
再起不能になるかも知れません。
さらに、無我夢中で打ち込むとなると3ヶ月程度、寝食を忘れて没入するとなると3週間程度、必死に全身全霊をかけるとなると3日程度がが限界でしょう。
生身の人間は、たいていそんなものです。
石の上にも3年、という諺があります。
原義は、3年も我慢すれば物事はたいていうまくいく、というような意味です。
逆に言えば、3年くらいなら我慢できる、という意味にも解釈できます。
昔の人は経験則から、そのような数字に至ったのでしょう。
目一杯頑張るというのは、腹一杯食べるということとアナロジー(類似性)があります。
健康的によくありません。逆効果です。
さらに、食い過ぎれば、腹をこわします。
長い間には、大きな病さえ招き、進行させます。
腹八部目が丁度良いのです。最も好ましいのです。
これは、勉学、スポーツ、技芸など全てに通じます。
長い一生から見れば、限界まで打ち込む続けるというのは賢明ではないということです。
何事も、適度が必要です。調整が大切です。
親は、子供の燃え尽きにも注意しなければなりません。
それにしても、今年の夏の甲子園で優勝した佐賀北高校の日々の練習時間は、三時間前後であったといいます。
多くの私立強豪校のおよそ半分ほどです。
この公立進学校における彼らの努力のあり方は、頑張ることについて多くを示唆していると思います。