■食品偽装は、なぜ続出するのか?
食品は、消費物資の中でも最も重要なものです。
人々の健康や生命の維持と直接結び付いているからです。
消費者は、生産者の食品を安全であると信じて購入しています。
表示に嘘はないと全く疑うことなく、口に入れています。
生産者を信頼しきっているわけです。それが揺らいでいます。
消費者にとって、販売されている食品の安全性を確かめる術はありません。
腐っているかどうかくらいは分かるでしょう。
しかし、見分けのつかない食材が混入していたり、有害な成分が含まれていることについては、全くの無防備です。
食品偽装は、まさに消費者の信頼を真っ向から裏切る行為です。
それは、食品業界全体の人間に対する不信感さえ招きかねません。
信用崩壊です。社会病理の深刻化は避けられません。
このような凶悪なことに、なぜ最も信頼されなければならない生産者は手を染めるのでしょう?
彼らには、人々の最も大切な生命や健康を支え担っていることの自覚や誇りがないのでしょうか?
それらが希薄であることは確かでしょうが、もう一つは、罰則が軽いためではないでしょうか?
従来、違法表示に対する罰金は50万円以下でした。懲役は、ありませんでした。
これでは、金に目が眩めば、ごまかして大もうけした方が得に決まっています。
1千万円も儲ければ、罰則を目一杯払っても950万円の利益となります。
さすが、これはまずいと思ったのか、政府は平成14年、JAS法を改正し、個人に対する罰金を100万円以下、法人に対する罰金を1億円以下にしました。1年以内の懲役も加えました。
身に覚えのある不心得者たちは慌てたでしょう。
しかし、それでもやはり罰金は最大でも1億円以内です。懲役は1年以内です。
中規模以上の企業ならば、脱法行為に手を染めた方がうまみは大きいでしょう。
成功確率が高ければ(例えば、10分の1など)、目先の誘惑に駆られてファウスト(悪に魂を売った人物)となっても不思議はありません。
摘発された偽装は、氷山の一角とさえいわれています。恐ろしいことです。
多くの人々の食の安全と健康を守るためには、内部告発の勇気を持つ月光仮面に期対するしかないのでしょうか。残園なことです。寂しいことです。
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