■殺人者の妻子は?
去る8月25日、栃木県那須塩原市の保険代理業生駒文子さん(63)の遺体を同市内の山林に遺棄した容疑で、商品先物取引会社・宇都宮支店営業課長の小西繁貴容疑者(36)が逮捕されました。
県警は小西容疑者が証拠金を流用し、これを知った生駒さんと金銭トラブルになり、殺害したとみて調べを進めています。
小西容疑者に預けた先物取引の証拠金のうち、600万円近くを着服していたことが、県警捜査本部の調べで分かっています。
消費者金融数社に計数百万円の借金を抱えていたそうです。
彼には、妻子がありました。子供は小学生です。
近所では、子煩悩であることが知られていました。
休日には、家の前の通りなどで、サッカーやキャッチボールをしていたそうです。
それなのに、彼は、殺人を犯してしまいました。
数百万円のためです。
子供にとっては父親が、妻にとっては夫が、殺人者となってしまいました。
人間の犯す罪として、最も重いものです。
子供にとっても、妻にとっても、ショックは限りなく大きかったでしょう。
彼らは、これから長い将来、自分の父親、自分の夫が殺人者であるという十字架を背負い続けなければなりません。
彼の子孫までも、祖先に殺人者がいたという暗く重い澱を心の底に抱え続けなければなりません。
子供は、結婚や就職に大きな制約を受けるでしょう。
結婚できないかも知れません。
条件のよい職場には、就職できない可能性も大です。
殺人者の子供と結婚しようと言う女性も、重犯罪者の子供を採用しようとする会社も滅多にないからです。
彼はそれを考えなかったのでしょうか?
借金の返済が行き詰まった時点で、自己破産する道もありました。
証拠金の着服が露見した時点で、全てを謝罪し、横領罪で服役するという道もあったはずです。
殺人より、はるかに増しです。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざがあります。
早い時点で、自己犠牲を厭わず、両手を挙げ、全てをさらけ出していれば、周囲は救いの手を差し伸べてくれたかも知れません。
少なくとも、結果は大きく異なっていたでしょう。
借金も、貧窮の末ののものではありませんでした。
小西容疑者の知人などによると、小西容疑者は職場ではまじめな仕事ぶりだった半面、飲食店を飲み歩くことが多く、飲食代や遊興費がかさみ、消費者金融から借金を重ねていた、といいます。
飲食代や遊興費は、周囲に自分の羽振りの良さを見せつけるための虚栄心から生じたものでしょうか?
それとも、営業実績を上げるため、交際費的に支出していたものでしょうか?
真実のところは、分かりません。
しかし、殺人が見合うようなものでは全くありません。
ただ、人を殺すと言うことは、よほどの怒りや憎しみの情念が深層になければならないことは確かです。
それは、通常、親によって植え付けられ、周囲の人間によって増幅されます。
どこかに深い愛情の支えがあれば、怒りや憎しみのエネルギーが殺人にまで至ることはありません。
彼は、真の愛情に恵まれる育ちを受けていなかったかも知れません。
彼は、真の愛情に出会う機会を得ていなかったのかも知れません。
それは、裁判の過程で明らかになるでしょう。
彼が、妻子に対し、本当の愛情を持っていたら、殺人など犯すことはできなかったはずです。
その意味で、彼には真の愛情というものが分かっていなかったに違いありません。
いずれにせよ、重い十字架を追い続けるのは、直接の加害者だけでなく、何人もいることだけは確かです。
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