■ネットで募集、共犯殺人者の心理は?
名古屋市千種区の派遣社員磯谷利恵さん(31)の遺体を岐阜県の山林に遺棄した疑いで3人の男性が逮捕されました。
磯谷さんは、8月24日夜、車で拉致され、金を強奪された上に、ハンマーで殴り殺されました。
逮捕されたのは、住所不定無職川岸健治(40)、愛知県豊明市の新聞セールススタッフ神田司(36)、名古屋市の無職堀慶末(32)です。
川岸健治容疑者がネットで共犯者を募集したのがきっかけで3人は集まりました。殺害の主導をしたのは新聞セールススタッフ神田司容疑者とされています。
男たちは、金が目当てだったそうです。
最初から、女性を狙っていました。
「女性の方が力がなくて狙いやすい」、「女なら誰でもよかった」と語っています。
男たちは「犯行翌日も、別の女性を拉致する予定だった」と供述しているそうです。
さらに、神田容疑者は、「最初から殺すつもりだった」とも言っています。
彼らは、なぜネット共犯を選んだだったのでしょう?
なぜ、単独犯を避け、見知らぬ他人と共同犯罪に至ったのでしょう。
動機、心理を推察してみます。
次のようなことが考えられます。
1.共犯により、一人当たりの罪が軽くなると彼らが考えたこと、
3人なら、罪は3分の1になると、彼らは考えたのかも知れません。
もちろん、そんなことはありません。
共犯だからといって、自分の犯した罪の事実が変わるわけではありません。
殺人に手を染めたという真実が消えるわけではありません。
2.共犯なら強制力が働くということ。
自分独りでは踏み出せない犯罪も、仲間がいれば背中を押してくれると考えたということです。
途中でためらい中止する可能性がなくなります。
確かに共犯の場合は、犯罪がエスカレートする可能性は大です。
3.より大きな仕事ができると思ったこと。
しかし、やったことは、女性を殴り殺しながら、7万円を奪っただけでした。
4.ネットでは、身元がばれることはないと思ったこと。
ところが、事実は逆になりました。
拉致した翌日に川岸容疑者の自首によって、事実は発覚し、次の日に全員が逮捕されました。
とりわけ、共犯の場合には、お互いに対する規制、牽制が働くことは確かでしょう。
特に抜け駆けは許されません。
リンチ(私刑)で殺されることも覚悟しなければなりません。
また、凶悪化する可能性も大です。
お互いに対して、自分の力、存在感を誇示しようとするからです。
見栄、粋がりの一種です。
ばかにされたり、なめられたりしたくないという気持ちのため、過激な行動に突っ走ってしまうことが少なくありません。
限度を超えて凶暴化、凶悪化します。
これは、弱い人間の特性でもあります。
弱い人間の集まりの中では、しばしば起こります。
弱い人間たちは、お互いに弱みを見せまいとして、過剰に粋がり、強がってしまうのです。
彼らが、意図せずの過剰な行動に追い込まれてしまったと言うことは大いにあり得ます。
これは、戦争の時、暴力的な軍や兵士の一部がどのような虐殺やジェノサイド(集団殺戮)を行ったかを知れば理解できることです。
「百人切り競争」などが典型です。
戦争では、このようなことがしばしば起こります。
ヒトラーのアウシュビッツ、ポルポトの大量虐殺は、この究極の発展型とも言えます。
彼らは、皆一様に不幸な育てられ方をしたのでしょう。
生まれたときから、まともな育てられ方をしなかったに違いありません。
親や家族からの真の愛情が、ほとんどないし全くなかったと言うことです。
さらに、周りの誰からも、真の愛の手を差し伸べられなかったのでしょう。
これまでずっと、いじめや疎外や抑圧を受けてきた可能性は大です。
どこかで真の愛情を受けていれば、極悪非道に手を染めることはほとんどありません。
悪事は、長い間蓄積したい借りや憎しみの爆発でもあります。
彼らの心の中にはそのエネルギーが充満していたのでしょう。
もちろん、やっていいことと悪いことの基本的なモラル、規範意識も育てられていませんでした。
それ以前に、元々親にモラルや規範意識があったのかも問題です。
彼らは、女性を襲いました。
女性に対する見方、考え方には、母親の存在が強く影響しています。
女性に対する感情は、母親に対する感情と連動しています。
女性を平然と殺害できると言うことは、母親に対する怒りや憎しみが彼らの深層心理の中に存在していることを示唆しています。
女性殺しは、母親殺しでもあるのです。
女性否定は、母親否定でもあるのです。
女性に対する性的物象化は、母親に対する性的物象化でもあるのです。
その可能性は大いにあります。
これは、裁判の過程の中でも明らかにして欲しいことです。
育ちの家庭や家庭環境は、裁判の中で解明すべきです。
犠牲者の女性は、子供の頃父親を亡くし、母と二人で手を携え、支え合って、厳しい人生の道を歩んできました。
ようやく将来の伴侶と巡り会い、新しい幸せをつかもうとしていた矢先だったとも言います。
それが突然、断ち切られてしまいました。
さぞかし無念なことであったでしょう。
母親は悲しみのどん底に突き落とされてしまいました。
何ともやり切れないことです。
それにしても、ネットが共犯者募集の仲介所になっているとは恐ろしいことです。
「闇の職業安定所」とも言うそうです。
共犯者を募集する闇サイトが放置されているというのも不思議な話です。
野放し状態というのも危険な話です。
最も有効なのはおとり捜査でしょう。
しかし、日本ではなかなか法制化が難しいようです。
おとり捜査は、麻薬や覚醒剤などごく一部の捜査に限定されているようです。
次の犠牲者が誰にならないとも限りません。
共犯募集は、犯罪者を増やす可能性もあります。
悲しみや苦痛や不幸にあえぐ人を生まない手立てが早急に望まれます。
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