弟殺し

兄が弟を刺殺した理由は?

9月9日(日)、兄が弟を刺殺するという事件が報道されました。
記事によれば経緯は、次のようなものです。

「8日午後8時35分ごろ、長野県宮田村、無職宮下秀啓さん(49)宅で「(兄が)包丁を持って暴れている」と秀啓さんの妻から110番があった。
県警駒ケ根署員が駆け付けたところ、秀啓さんが胸などを刺され玄関で倒れており、病院に搬送されたが死亡した。
同署は近くに住む兄で会社役員宮下進八郎容疑者(57)が現場で刺したことを認めたため、殺人未遂の現行犯で逮捕した。容疑を殺人に切り替え、詳しい動機を調べる。」(時事通信) 

報道によれば、進八郎容疑者は、仕事に就かない宮下さんに金を無心され続け、悩んでいたといいます。
確かに、これは両者の緊張を高め、とくにお金を無心される方は追いつめられた気持ちを抱くことになるでしょう。

しかし、それだけでいきなり包丁で弟を刺し殺すでしょうか?
家族の間で同じ状況に置かれている人も少なくないと思います。
それでも、殺人に至るケースが多いわけではありません。

この根底には、二人の間に長い間蓄積した、恨みや憎しみがあったのではないでしょうか?
兄弟間の不和、不仲ということです。
相手に対する信頼や愛情が全くなかったことが考えられます。

この原因として最も多いのが、親による兄弟差別です。
小さい頃から、どちらかがより可愛がられ、他方がより冷遇されたということです。
差別ほど、相手に対して怒りや憎しみや恨みを抱かせるものはありません。
嫉妬、怨恨です。

これは、被差別民族、集団などが、あることをきっかけに、非常に報復的、暴力的な反応、行動をとることを見ても、容易に理解できると思います。

もちろん、嫉妬、怨恨を抱かれた方、つまり厚く遇された方にも、いい感情、意識は与えません。
差別された相手に対して、たいてい傲慢、横柄、冷淡な態度をとることになります。
これらが、両者の怒りや憎しみを増幅させ、不和、対立を深めることになります。
そして、積年の負の感情が、とんでもない凶行となって爆発するのです。

そのきっかけは、遺産相続を巡る争いにあることも少なくありません。
否、それどころか、兄弟の不和、不仲は、遺産相続の時に、最も鮮烈な形で表面に現れるでしょう。
金銭には、人間の本性、生臭さが最もよく映し出されます。
今回の事件も、金銭トラブルが背景にありました。

兄弟間に根深く充満した負の感情がある時、このような不幸な事態は容易に起こる可能性があると考えてよいでしょう。
これをもたらすのが、まさに親の差別的な養育姿勢なのです。

それを考えて、親は複数の子供に接するべきです。
兄弟間で差別することは、将来の不幸を招きます。
一旦、ことが起これば、周囲も子孫も人生を暗転させてしまう可能性があります。

それにしても、中高年の感情の爆発による凶悪犯罪が目に付きます。
冷静に対処すれば、決してそれを避ける方法がないわけではないと思うのですが残念です。

「兄弟は他人の始まり」とは言え、仲のいい方が多くの利益をもたらすことは確かなのですが…。
喧嘩で得することはありません。