ミャンマー軍事政権の蛮行

国民に銃口を向ける独裁政権!



ミャンマー(ビルマ)の独裁政権が、その本性を向きだしにしました。
困窮する国民生活の改善を求めて始まったデモを強力に弾圧し始めたのです。
政権の無策や腐敗を批判する民主化運動の色彩を帯びた途端、示威行動に加わる人たちに銃口を向け、暴力装置を使い始めました。


現在のところ、軍により殺害された死者は少なくとも数十人に達すると言われています。
実際は、相当な人数に上るでしょう。
政権が崩壊しない限り、真実は闇に葬り去られる可能性は大です。


数百人が拘束・連行されたといいます。
彼らは拷問や虐待を受ける危険が極めて高いとされています。
現在、千人単位の政治囚も、最悪な状況の下で拘禁されています。
ともに惨殺される恐れは大です。


兵士の暴力ばかりでなく、兵士による略奪なども横行しているしているようです。
同胞であるはずの市民が、国軍に傷つけられ、殺され、奪われています。
軍が民衆の中に解き放たれ、横暴を働くときはいつもそうです。


独裁政治は、国民にとって多くの加害をもたらします。
負の側面が極めて強い体制と言えます。
結果的に、国民に塗炭の苦しみを与えることになります。
それは、歴史的に長い間、実証されてきています。


民主主義的な選挙によって選ばれたにせよ、軍事クーデター、革命によって奪取されたものであるにせよ、一旦握られた独裁政権は常に同じ道をたどります。
プロレタリア独裁であろうが、ナチス独裁であろうが、結局のところそれは変わりありません。


では、独裁政権は、国民、民衆にどのような害悪をもたらすのか、その主なものをまとめてみましょう。
次のようになります。


・権力支配、圧政が強化、徹底される。
・独裁権力者を頂点とするピラミッド型の堅固な階層構造が構築され、固定化される。
・政治腐敗が進み、汚職が蔓延する。
・政治へのチェック機能が不在となる。
・自分たちの都合のいいように法律が作られ、施行される。
・個人の自由、言論の自由が排除される。
・マスコミ・報道は、統制され、管理・検閲され、指導下に置かれる。
・民衆の人権が抑圧される。
・経済的利権が独占される。
・特権階級が形成され、貧富の格差が拡大する。
・クローニズム(cronyism,縁故主義)がはびこる。
・身内、側近の各界への天下りが横行、普遍化する。
・軍(武力)が独占され、私物化される。
・武力的(暴力的)弾圧が横行する。
・批判者、反対者は、徹底的に排除、弾圧され、生存権を脅かされる。
・司法(裁判権)独占され、私物化され、公正な裁判が排除される。
・処刑が私刑化される(敵対者は潔白でも死罪に、身内は殺人者でも無罪に、という
  事態に陥る)。
・被支配者、つまり大多数の国民は奴隷化する。


このように、独裁政治、独裁政権の欠陥、マイナスは、数多くあります。
いずれも真の民主主義では、否定されているものです。
身近にある国(北朝鮮)が、見事にこれらを実証してくれています。


一旦独裁政権が成立すると、崩壊させるのは至難です。
権力者、特権階級たちは、握った巨大な富と利権、そして暴力装置を決して手放そうとしないからです。
政体を変えるためには、多くの血を流さなければなりません。


ミャンマーの独裁政権の蛮行は、欧米を中心とする多くの国に批判、非難を受けています。
しかし、すぐには倒壊しないでしょう。
とりわけ、世界の大国、強国である中国が、容認し、支持、支援を行っているからです。


中国も、典型的な独裁国家です。
政党は1つです。政権選択の自由はありません。選挙は形式だけです。
政府に対する反対勢力を全く認めていません。
ミャンマーと同質と言えます。
今回の反政府運動の暴圧も、天安門事件を想起させます。


中国は、ミャンマー以外にも、多くの独裁政権、軍事政権と友好関係を強化し、支援を与えています。
いわば、同じ穴の狢(むじな)だからです。
次のような国です。
 北朝鮮 ミャンマー イラン キューバ シリア パキスタン スーダンなど
これらの国々も、中国の後ろ盾がある限り、民主政体が実現することはまずないでしょう。


ミャンマーは、確かに過去に平和的に民主化を実現するチャンスはありました。
90年5月に行われた複数政党制による民主主義的な総選挙です。
結果は、民主化勢力を結集したスー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が大勝しました。
80%を越える議席数を獲得しました。


その時、軍事政権が選挙結果を受け入れていれば、平和裏に民主主義体制が確立した可能性はあります。
しかし、軍事政権は、その結果を否定し、踏みにじり、反対勢力を排除・弾圧し、独裁を強化させました。
時代は逆行し、暗黒の世界に突入しました。


以来、国民の自由や富は奪われ続け、民衆は窮乏と困苦を余儀なくされています。
果たして、いつの日に人々の自由や人権が回復されるでしょうか?
それが、権力者にも民衆にも、多大な血が流されることなく実現することは可能でしょうか?
行く末が懸念されます。


少なくとも、今回の事件は、国民、民衆に怒りと憎しみを蓄積させ、同国の歴史に権力者たちの汚名と残虐性を刻印したことだけは確かです。


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