◆結婚の本質とは?
結婚とは、何でしょう?
男女が一緒に住むことでしょうか?
男女がお互いに愛し合い、支え合うことでしょうか?
子供を作って、育てることでしょうか?
しかし、これらのことは結婚しなくてもできます。
では、結婚とは何でしょう?
法律によれば、次のようになっています。(→参照)
第752条:夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
第760条:夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
第761条:夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。
第890条:被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
これらの権利・義務の関係は、結婚によって初めて生じるということを意味しています。
とりわけ、結婚によって初めて、お金や財産に関する経済的な関係がはっきりと決められるわけです。
つまり、結婚とは契約である、ということになります。
そこに結婚の最大の本質があります。
もちろん、経済的な扶助については、結婚しなくても相手に対して行われなわれる場合はあります。
愛人の場合などです。
しかし、ここには義務はありません。
急に援助をやめたからといって、法律的に問われることはありません。
もちろん、離婚の場合の慰謝料や養育費などの問題は、原則的に生じません。
とりわけ、結婚における最大の法律上の契約関係は、遺産です。
遺産といっても、財産、資産ばかりではありません。借金もあります。
伴侶が亡くなったとき、直ちにそれらに対し、相続の権利・義務が生じます。
法律上の関係が結ばれていないに者には、この権利も義務もありません。
この関係は、婚姻届を出すことによって初めて成立します。
どんなに派手な結婚式を挙げても、婚姻届を提出していなければ結婚は成立していません。
結婚式にかけるお金の額や、集まる人数には関係ありません。
華々しい結婚式を挙げ、その後何年も仲良く過ごしていても、法律上は単なる他人と見なされてしまいます。
もちろん、逆も真です。
結婚式を挙げていなくても、婚姻届を出していれば、結婚は成立しています。
憎しみ合い、長くに別居していても、婚姻届が受理されていれば、法律的な権利・義務関係が生じています。
巨額の遺産を相続することも可能です。
相手が、赤の他人以下の存在であっても、強い絆で結ばれた夫婦と見なされます。
世の中には、結婚式を挙げれば、結婚が成立すると考えてしまう人たちもいます。
特に、子供や若者などはそうでしょう。
しかし、これはとんでもない誤解であり、幻想です。
結婚式は、あくまでも儀式に過ぎません。
人生最大のめでたいイベントかも知れませんが、それ以上のものではないのです。
婚姻の最大の本質が経済(お金や財産)にあることは、離婚の際のトラブルの内容を直視すれば、即座に理解できます。
そこに、最もはっきりした形で赤裸々な姿を現すからです。
離婚において、問題がこじれることになる原因は、ほとんど全てお金や財産に関することです。
養育費、慰謝料、財産分与などです。
その金額が最大の争点になります。
金額の大小を巡って、熾烈なやりとりが繰り返し行われます。
これは、他人の関係ならば、まず起こらないことです。
もちろん、結婚生活にとって最も大切なものは、愛情です。
支え合いであり、理解し合いです。
いたわり合いであり、助け合いです。
それらがなければ、長い年月に渡り、砂を噛むような不幸な結婚生活を送ることになります。
それでもなお、法律的には、結婚の最大の本質は、経済的な関係にあります。
特に、財産の相続権利は、ほとんど法律でしか守られないことを確認すべきです。
結婚式は、あくまでもイベントに過ぎません。
結婚式の大いなる喜びも感動も涙も、法律的には何の保証も与えません。
結婚式は、新しい門出を祝す最大の儀式以上のものではないことを理解することが必要です。
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