少年力士の殺害

少年力士は集団リンチで殺害された!

また、角界(相撲界)で大きな事件が起きました。今回のそれは最大級の激震です。
殺人事件だからです。

由緒ある時津風部屋で起きました。親方は元小結の双津竜(57)です。
17歳の少年力士である元序ノ口、時太山=本名・斉藤俊(たかし))さんが、去る6月26日、急死しました。
名古屋場所前の稽古中でした。
※ 相撲の階層は、序の口(約40枚目)、序二段(約130枚目),三段目(100枚目)、幕下(60枚目),十両(14枚目)、幕内(42人)となっています。

既に3ヶ月近くがたっています。
真相は、集団リンチ(私刑)殺害の様相を帯びています。
入門して2ヶ月余りの少年力士に与えられた仕打ちは次のようなものでした。
各種報道をまとめてみます。

・親方が、ビール瓶が砕け散るほど、少年力士を力任せに殴りつけた。
・親方は、「かわいがってやれ」などと兄弟子らに制裁を指示した。
・兄弟子の1人は「金属バットで殴った」と自白した。
・斉藤さんを稽古場の外に連れ出し、殴る蹴るの暴行を加えた。
・死亡当日、力士3、4人が斉藤さん1人を狙った執ようなぶつかりげいこを続けられ、斉藤さんが倒れても、けるなどの暴行が加えられた。
・遺体の顔は赤く腫れ、体はアザと擦り傷だらけで、太ももにはたばこの火を押しつけた跡があった。
・遺品の携帯電話は真っ二つに折られていた。
・斉藤さんの死亡後、部屋側で遺体を火葬しようとした。

報道の内容が真実であるとすれば、まさに集団リンチ殺人です。
由々しきことです。あってはならないことです。

相撲部屋は、青少年を人間的にも優れた国技の力士に育てる場であるはずです。
身体の立派な腕力の強い力士を育てるだけならば、国技は単なる金儲け、興行のための見せ物に成り下がってしまうでしょう。
国民の支持も人気も失うに相違ありません。

暴力的な制裁は、指導者としても兄弟子としてもあり得るべき態度・行動ではありません。
無用なしごきや体罰は子供、青少年の心を必ず荒らします。
土俵に君臨するに最強の横綱である朝青龍にも、かつて彼が育つ過程でそのような仕打ちがなかったか大いに疑念がもたれるところです。
なぜなら、彼はその態度や言動がいろいろ取りざたされるからです。
彼は敬意と信頼をもたれなければならないトップの存在であるのに、人間的には不十分であるということです。

暴力的な制裁は、子供、青少年の心に暗い影を落とすことは確かです。
それは、どんなスポーツでも同じことです。
それは心豊かな立派な人間を育てる代わりに、心の荒れ歪んだ暴力的な人間を育てることに必ず作用します。
しごきや体罰を肯定している指導者は自戒すべきです。
それらが本当に子供たちのためであるかのということです。
自らのストレスのはけ口、憂さ晴らしに利用されていないかということです。
悪風は、社会に蔓延します。

今回も暴行を加えた本人には、表の顔と裏の顔があったようです。
親方の裏の顔(本性)を見抜いた人はほとんどいませんでした。
時津風部屋が入るマンションの上層階に住む主婦(44)も「非常に温厚な方。よく娘さんたちと一緒に犬の散歩に出かけていますし、会えば必ずあいさつしてくれます。ビール瓶で人を殴るなんて想像できません」と語っています。
暴力的な多くの人間が、家庭の中、組織、集団の中では、別の顔(真の顔)を持つと言うことです。
今回の事件も、それを実証していました。

父親の正人さんは「『僕いい子になるから迎えに来て』というのを信じてやれなかったのが悔しい」と語っています。
「『もうちょっと頑張ってみろよ』と、わたしのエゴで言ってしまった」と後悔しています。

確かに、未成年の子供を閉鎖性の強い組織に預け、委ねたままにするのは、問題があると言えます。
いくら相手を信頼していても、最低限のチェック、観察は欠かせません。
子供に良くない変化があったときは、子供の置かれている状況を疑ってみるということです。
今回は手遅れになってしまいました。

真実を闇の中に残してはなりません。
誰がどのようなことをしたのか、というばかりでなく、何のためにしたのか、どのような経緯があったのかも含めて解明する必要があります。
広い視野から全体像をつかみ、多岐に渡るアプローチ調査、分析が求められます。
それは、相撲部屋内の人間関係、師弟関係ばかりでなく、親子関係などにも及ぶべきでしょう。

中途半端な解決は危険です。
事件の真相を徹底的に明らかにしないと、角界は長い将来に渡って信用を失うことになります。
対処の仕方は、相撲界の盛衰に大きく関わることでしょう。

今回の事件で、力強く品格を重んずる国技が、当面の間、敬意や親近感を大きく失墜することが避けられそうにありません。
若い有能な力士も、ますます集めにくくなるでしょう。
もっとも長い伝統を誇る国技が、地に堕ちることを憂えます。