●不登校の原因として、いじめがたったの3%とは!
小中学校で年間30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は、平成18年度は約12万6764人(前年度比3.7%増)に上ったことが8月9日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かりました。
5年ぶりの増加です。
中学では、約3%となっています。
1クラスにおよそ1人、不登校生徒がいることになります。
今回の調査では、昨年相次いだいじめ問題を受け、きっかけについて「いじめ」が選択肢に加えられました。その結果、3.2%が該当したということです。
不登校のきっかけは、「本人にかかわる問題」(約31%)が最多となっています。
「いじめ」が不登校のきっかけとなっていることが、これほど少ないのは異様です。
「親子関係」という回答が、約14%ありますが、これと比べても少なすぎます。
しかも、調査は、複数回答で行われています。
不登校が継続している理由についても、回答の多い順に情緒的混乱32%、無気力25%となっています。
これも釈然としません。
果たして、実態を反映しているのでしょうか?
この調査は、不登校の子供に対してではなく、学校管理のもとで、登校している子供たちに対して行われています。
3%程度の不登校の子供たちではなく、97%の登校している生徒たちが調査対象だったということです。
そこに、この数字の不自然さの背景にあるように思います。
学校当局にとっては、いじめが原因であることは好ましくありません。
管理能力や指導能力が問われるからです。
本人の問題、家庭問題関係などに原因を定めた方が、都合のよいことは確かです。
しかし、家庭で多少のことがあっても、体の調子が少し優れなくても、学校が楽しければ、子供の足は学校に向かいます。
逆に、本人が心身共に健康で、家庭に問題がなくても、学校が地獄のような苦しく、悲しく、辛い場ならば、学校からは遠ざかります。
その最大の原因がいじめです。
彼らは、学校で、けなされ、罵られ、脅され、無視され、邪魔され、そして時には、殴られ、蹴飛ばされる。
しかも、周りに誰も、手を差し伸べる仲間はいない。
温かい言葉を掛けてくれる者はいない。
寄り添ってくれる友はいない。
そのような状況になったとき、子供は自分の成長の場であるはずの学校に背を向けざるを得ないのです。
最近は、そのような状況が、子供たちの世界に満ちています。
子供は、そのまま学校に居続ければ、精神的、肉体的なバランスを保てないことを知っています。
自ら命を絶たなければならないような状況に追い込まれることも危惧しています。
事実、いじめが子供に自らの命を絶たせる事例が続いています。
不登校が、自分にとって、とても不利益であることは十分に理解しています。
自分の将来を不幸にすることも目に見えています。
それでも、教室が四面楚歌となったときは、こどもは学校を見限るしかないのです。
これは、職場に向かう大人も同じです。
職場にに背を向けたくなくなるのは、仕事自体の厳しさより、人間関係の辛さでしょう。
肉体的な負担には、相当我慢できる人でも、精神的な負荷に耐えることはなかなか難しいことです。
私が多くの子供たちと接した経験、そして多くの公表された事例からも、いじめが不登校の最大の原因となっていることは明らかです。
苦しみ、悩み、悲しみに喘ぐ子供たちを、一人でも多く、一刻でも早く救うためには、まず彼らにじっと耳を傾けるべきです。
彼らの胸の中にしか、真実はありません。
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