一流銀行員の痴漢

超一流銀行員の痴漢    

超一流大銀行の行員が電車内で痴漢をして逮捕されるという事件が報じられました。
概要は、次の通りです。

「千葉県警松戸署は、電車内で痴漢行為をしたとして、三菱東京UFJ銀行の行員(44)を逮捕した。
この行員は、11月22日午後11時50分ごろ、快速電車内で後ろから女性会社員の尻を手のひらで触った。被害にあった女性は、近くの男性会社員(33)に声をかけ、助けを求め、同容疑者の両脇を固め、拘束した。
たじろぐ容疑者は、下車する際、「これで勘弁してくれ」と、懐から1万円札を1枚取り出し、女性に渡そう試みた。しかし、この“買収工作”に女性の怒りは激怒し、この受け取りを突っぱね、駆けつけた署員に引き渡した。」

この行員は、懲戒免職となるのは、ほぼ確実でしょう。 失職するということです。
超一流大銀行は、名誉を傷つけられたとして告訴しないとも限りません。
新しい職場を得ても、より高い給与、所得を得られる可能性はほとんどありません。
半減するかも知れません。

大銀行ということと、彼の年齢を考えれば、年所得は恐らく1千万円に近かったでしょう。
それが数百万円になるかも知れません。
数十年間を積算すれば、1億円近くにもなるということです。
それを一挙に失うということです。

超一流の大銀行の正社員になるのは容易なことではありません。
相当に高い学歴も必要です。
この行員は、子供の頃から真面目に一生懸命勉強をしてきたでしょう。
教育に高いお金をかけてきたかも知れません。
そして、入行後は20年以上、コツコツと一生懸命に仕事をしてきたはずです。
そのような努力、労力が一気に消え去ってしまうということです。

そればかりではありません。
お金や地位の問題以上に深刻なことがあります。
それは人からの信用や評価を失うということです。
友人、親戚、近所の人たちからばかりではありません。
何より、家族から見放される可能性もあります。。

特に子供たちに与えるショックは大きいでしょう。
大好きだったお父さんも、大嫌いになるに違いありません。
妻との間には、すきま風が吹き始めるでしょう。
家庭が崩壊するかも知れません。
この行員が妻子を持っていたとすれば、そういうことになります。

この行員は、先のことを考えなかったのでしょうか?
超一流の大銀行の行員であることからすれば、知的学力レベルは相当に高かったはずです。
しかし、冷静に先を見る目、全体を見る目は欠けていたと言うことです。
社会常識もです。

幼い頃、子供の頃、甘やかせて育てられたのかも知れません。
そのため、本当の心の強さ、自制心が育まれなかったのかも知れません。
親も学業成績の方ばかりに目がいき、人として本当に大切なことは教えてこなかったのかも知れません。
そのため、規範意識、倫理意識が植え付けられなかったのでしょう。

いずれにせよ、この行員は痴漢を甘く見ていました。
しかし、出来心であるからといって許されることではありません。
ストレスが溜まっていたからと行って、認められることではありません。

痴漢を軽微なものと考えてはなりません。
その影響の大きさ、失うものの大きさは、強盗などの重大犯罪にも匹敵するのです。

この行員は、突然人生を大きく暗転させることになっていしまいました。
深く後悔しているでしょう。悲嘆にくれていることでしょう。
しかし、過去は拭えません。
やったことの罪責は、不良債権のようにチャラ(棒引き、帳消し)にはできません。
子供たちの将来にも影響するのです。

被害者の女性も、後味は悪いはずです。
被害者として不快な思い、嫌な思いをするばかりではありません。
加害者ばかりでなく、彼の家族の人生をも悲惨なものにしてしまうからです。

軽微な犯罪でも、いろいろな人を不幸にします。
残念なことです。