できちゃった婚

10代の母親の83%ができちゃった婚!


いわゆる「できちゃった婚」は、確かに増えています。
性に対する意識が開放的になり、性情報が氾濫する社会においては、必然的な傾向と言えます。
婚前交渉などという言葉も、死語になりつつあります。
性交体験と結婚との境界が希薄になっています。

とりわけ、青少年による性体験の割合は、ここ30年ほどはずっと右肩上がりを続けてきました。
最近の調査(日本性教育協会の「青少年の性行動調査」)によれば、中学生から大学生までの性体験率は、およそ次のようになっています(数値は概数)。
調査期間は、昨年11月から今年3月。対象は、12都道府県の中学、高校、大学・専門学校の5510人。
  大学生…男63%、女62%:高校生…男27%、女30%:中学生…男4%、女4%

性体験の比率が、高まれば妊娠の可能性は明らかに高まります。
性行為は、とりもなおさずその本質は生殖行為だからです。
妊娠すれば、中絶するか出産するか二者択一になります。
中絶しなければ、出産です。

青少年による「できちゃった婚」の増加は、これを裏付けています。
性体験の増加の当然の帰結と言えます。

出産すれば、赤ちゃんを育てなければなりません。
それは、最も大切で、最も偉大でもある仕事ですが、大変で苦労や負担の多い営為であることも事実です。
これを一人で行うか、二人で行うかと言うことが問題となります。
もし結婚しなければ、未婚の母として、将来も長く、子供を自力で育てなければなりません。

多くの場合、彼らは結婚を選びます。
それが83%という数字につながります。

「できちゃった婚」の最大の問題は、子供のことです。
結婚式を挙げたかどうかではありません。
結婚年齢が若過ぎるとかいう問題でもありません。

産まれた子供が、幸せになれるか否かです。
生まれてきて良かったと言える人生を歩めるかどうかです。
親は、そのことに最大の責任を持っています。
親の事情や親の年齢には関係ありません。

できちゃった婚で懸念されるのは、結婚しようとして結婚するのではなく、できちゃったから結婚するということです。
それが強い動機になっていないかということです。
できちゃったから、「しょうがない結婚するか」、「しょうがない生むか」ということです。

さらに、「彼氏をつなぎ止めて置くにはこの方法しかない」、「産めば彼氏も考え方を変えてくれる(自分に愛情を振り向けてくれる)」などという、子供の誕生とは全く別のところに意識が働いてないかということも問題です。

このような場合、子供が幸せの中で産まれ、幸せに育ち、幸せな人生を送る可能性は低くなるでしょう。
はじめから子供の将来ことは、ほとんど頭の中にないからです。
子供を大切にきちんと育てよう、子供を幸せにしようという覚悟が希薄だからです。

親の中には、生まれてきた子供に向かって、次のように愚痴をこぼす者さえいます。
「お前さえ生まれてこなければ良かった」、「しょうがないから産んでやった」…。

子供は、このような親の言葉や不適切な姿勢に、哀しみ、痛みを感じるでしょう。
根深いトラウマになる可能性が大です。
自己否定的な感情、人生に対して後ろ向きな意識が芽生え、植え付けられます。

これは子供の生涯に暗い影を落とすでしょう。
そればかりではありません。
彼らが、社会にマイナスの影響、つまり社会の病理現象の要因となっていかないとも限りません。

若いできちゃった婚によって産まれた子供は、両親の愛情に恵まれる可能性が低くなることは否定できないでしょう。
事実、あまりに早い結婚は、離婚率が非常に高いことを統計は示しています。

人口動態統計(1999年度調査)によると、有配偶者数に対する女性の離婚者数の年齢別の割合は、46~50歳未満の数値を1とすると、およそ次のようになっています。もちろん、単純に比較するのは危険です。しかし、若年層の結婚ほどリスクが高いことを理解するには十分です。
 │ 年齢(未満)│~20│~25│~30│~35│~40│~45│~50│ 
  │   割合       │ 18  │ 11  │   5  │    3  │  2  │ 1・5 │   1  │ 

離婚が子供にとって最大の不幸であることに変わりはありません。
飢えていても、重い病気に冒されていても、両親が仲むつまじければ子供は笑顔を作っているものです。

できちゃった婚は、二人だけの問題ではありません。
それが、若い二人の幸せばかりでなく、お腹の中の赤ちゃんの幸せにも繋がらないなら、大いに問題です。
早い性体験に、疑問は残ります。
否定的、消極的にならざるを得ません。

産まれてくる子供が愛に恵まれ、幸せが望めない限りそうなります。
若い二人が「できちゃった婚」という新しい人生を踏み出すなら、まず、「子供と幸せになろう」、「子供を幸せにしよう」という気持ちをしっかりと持つことが何より大切です。