保険料より税金

年金は、保険料より税金の方が有利!


年金は、現在保険料で徴収されています。そのため、半分任意加入のような状態になっています。それは、未納問題の深刻さに現れています。

年金保険料は、最低でも(国民年金の場合)月額約1.4万円、年額約17万円(平成19年度)の納付が必要です。(低所得などのためには免除制度あり。その場合、免除額に応じて受取額も減少する)
しかも、保険料は、平成29年度まで毎年3,360円ずつ引き上げられます。最終的に年額20万円余りの負担になります。
低所得者層の方々にとっては、かなりの重荷です。不払いの気持ちに拍車がかかります。

では、保険料を消費税に転換した場合はどうなるでしょう。
消費性向(所得に対する消費の割合)を80%と仮定し、年金に充てる消費税率を3%と5%に設定したときの負担額を試算し、保険料と比較してみましょう。それぞれの金額を一覧にすると、次のようになります。金額は年単位、単位は万円。

     所得   消費支出  保険料  消費税3% 消費税5% 
     300     240       17      7.2           12    
     400    320        17      9.6           16    
     500     400       17     12.0          20  
     600     480       17      14.4          24
     700     560       17      16.8          28

この表の通り、分岐点は、消費税3%の場合には、年間所得が700万円程度です。消費税5%の場合には、年間所得がおよそ430万円となります。  
それ以下では、消費税で徴収された方が有利、それ以上では、保険料で徴収された方が得ということになります。
結局、所得や消費支出が大きい人ほど、消費税の方が有利となります。所得や消費支出が小さい人ほど、保険料の方が得ということになります。

現在、5%の消費税のうち国庫に納められる4%に当たる税収は、約10兆円程度だとされています。1%当たり約2.5兆円ということになります。(→参照
一方国民年金の保険料収入は6~7兆円です。
従って、3%程度の消費増税で十分に年金の財源はまかなえるということになります。

さらに、保険庁解体により保険料徴収の経費(人件費など)が減り、無駄遣いがなくなれば、2%程度の消費増税でも間に合うでしょう。その可能性は十分にあります。
累進税率を、再び強化(高額所得者の税率を多少重くする)したり、証券優遇税制などを見直したりすれば、さらに多くの国民の負担は軽くなります。

民主党は、マニフェストで最低保障年金(国民年金相等)を全額税で賄うとしています。そのための必要財源を6.3兆円と算定しています。(→参照
一方、自民党は、年金財源の税金化を否定しています。

もし、2%程度の消費増税により、国民全員に老後の最低生活が保障されるなら、多くの人々にとってこれほどの福音はないでしょう。
老後に安心ができるし、未納問題も完全に解消されます。無駄な事務経費、人件費も大幅に抑えられます。正直者が馬鹿を見ることはなくなります。

老後の生活に不安があればどうしても、消費活動は抑制されます。経済成長にもブレーキになります。
しかし、老後に安心が確保されれば、現役世代での消費活動も活発になります。老後の蓄えに汲々とする必要が減るからです。
そうなれば、民需が増大することは確かです。
民需は、総需要の6割近くあります。景気浮揚の追い風になります。経済成長に大いに貢献するでしょう。

国民の圧倒的多数は、年金徴収の税金への移行を強く望んでいるものと思います。
政治家たちは、是非その実現に尽力してもらいたいものです。