◆安倍首相は参議院選の大敗を予知していた?
安倍晋三首相(→参照)は、昨年9月、総裁選に立つ時点で、国民の圧倒的な支持を集めていました。
党内にも、安倍氏を押す声は、若手議員を中心に強いものがありました。
草木もなびく、という勢いでした。
しかし、安倍氏は、総裁選に立候補することを強く固辞していました。
「いまだ、若輩だから」というのが最大の理由でした。
彼が、周囲の説得、要請にもなかなか首を縦に振ろうとしなかったのは、記憶に新しいところです。
では、なぜ彼は、あれほどまでに首相の座に着くことに消極的な姿勢を示したのでしょう。
首相という地位が、自分の政治的理念を実現するために最大の近道であることを知っているにもかかわらずです。
彼は、自分の父親が大願成就を前に無念の涙をのんだ姿を間近に経験しています。
権力の最高位に立つことは、至高の目的であったはずです。
私は推測します。
彼は、小泉首相主導の衆議院選挙の後、自民党に対する追い風は少しずつ弱まり始めていると、察していたのではないでしょうか。
衆議院選挙では、風は余りに強く吹きすぎました。
世論の動向には「根拠なき熱狂」さえ感じられました。
揺れ戻しがあっても少しも不思議ではありません。むしろ当然です。
彼はそれを危惧していました。
もし、揺れ戻しが大き過ぎて、10ヶ月後の参議院選挙で大敗すれば、首相の座を引き降ろされるからです。
政権は、短命に終わります。重鎮としては再起不能の可能性もあります。
彼は、それを予測していたのではないでしょうか。
事実、彼が総理大臣就任後、年金問題や大臣の不正会計スキャンダルをきっかけとして、風向きはどんどん変わっていきました。
内閣や自民党に対する逆風は、日増しに強くなりました。
国民の中には、衆議院で法律案の強行採決が可能な議席(3分の2以上)を誇る与党に対して、疑問や警戒する気持ちが高まっていきました。
そして、暴風が吹き荒れました
安倍首相の恐れていたことが、現実になろうとしています。
首相の座を追われることです。
しかし、彼は、もし不人気のまま首相の座を明け渡せば、二度と権力の女神は微笑まないことを知っています。
次の総選挙(=衆議院選挙)では、与党が僅差であれ、勝利する可能性があります。
そうなれば、次の首相は長期政権を握ることになります。
自分の思惑は、結局、他の政治家によって成就されることになります。
確かに、この難局さえ乗り切れば、道が開けてくる可能性もあります。
そこで、政権の座にしがみつくことに固執しているわけです。
彼は、総理になる前と全く、逆の方向で頑なな態度をとっています。
とらざるを得ないのです。
他の大物議員たちの中には、安倍首相が短命に終わることを見込んで、彼が総理になることを支持した人もいるかも知れません。
彼らもまた、参議委員選挙では敗北することを察知していたわけです。
彼らは、風向きに敏感です。
そうなれば、自分に総理の座の巡ってくるチャンスが早まります。
長期政権を構築できる可能性さえあります。
彼らは虎視眈々とそれを狙っています。
そうなると、結局、安倍総理は、参議院選挙までのワンポイントリリーフ(一時的な中継ぎ)に過ぎなかったということになります。
その可能性は、ますます高まってきているようです。
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