ボクサーの正当防衛・2

正当防衛で刑罰を受けるとは!-その2


前回の記事に引き続き、坂本選手の事件について、私見を述べます。

ボクシングはプロとアマの差が最も大きいスポーツの1つと言われています。
練習も苛酷で危険性を伴うものですが、身に付く力量と技術も甚大なものです。
これに関して、「ガッツ石松伝説」を思い起こします。
現役時代、池袋の路上で弟にからんだヤクザ者8人を相手に殴り合いをし、たった一人で全員KOしたという事件です。(→参照

長身の男にとっては、不運でした。
相手がまさかプロボクサーとは思わなかったでしょう。
ひ弱そうな若者と思ったからこそ、いい気になって暴力行為に及んだはずです。
簡単に叩きのめせると思ったのでしょう。
中背だが細身で、優しい顔をしたこの青年を見くびったということです。

しかし、この暴力行為がそのまま続いていたなら、坂本選手は大怪我を負った可能性は大です。
体を鍛えていない普通の人間だっら、その恐れを否定できません。
ホームから線路上に突き落とされ、電車にはねられて命を落としたかも知れません。

とくに、体力の衰えた高齢者などでは、多少の暴力行為が命取りになることもあります。
脆弱の上、いろいろな持病を抱えていることも多いからです。
実際、しばしばそのような事件がマスコミを賑わします。
そのような場合、この長身の男は、殺人者として追求される身になります。
今回は幸い、一時的な被害者となるだけで済みました。

以下、一般論を述べます。
このようなタイプの男には、通常、次のような共通性があります。
 ・暴力的…気に入らないことがあると過ぎに暴力を振るう
 ・ヒステリー…すぐに逆上し、自分を見失う。
 ・差別的(卑怯)…必ず相手を見て、自分の行動を決める。
 ・無慈悲…温かい心や思いやりを持っていない。

このような人間に対して、信頼や敬意を持つことはできるでしょうか?
当然、否です。信頼を寄せたり、親しくするのは危険です。
いつの日か、不快な思いや痛い思いをすることは必至です。
隣人である場合、適当にあしらうのが一番です。

もちろん、このような人間は、誰にたいしても暴力的で、ヒステリーであるわけではありません。
相手によって、自分の出方を決めます。
相手が腕力的、権力的に優位であれば、暴力性を露わにしないし、ヒステリーにわめくと言うこともありません。
強い者にはへつらい、弱い者には嵩(かさ)に懸かると言うことです。

もし、誰に対しても暴力的でヒステリックに振る舞っていたら、人間、命がいくつ合っても当たりません。
必ずいつかは、自分より強い者に遭遇するからです。
その時、弱者に対するのと同じ態度をとっていたなら、叩きのめされるでしょう。
今回の事件も、その1例に近いものでした。
ただ、坂本選手は凶暴でも執拗ではありませんでした。

暴力的でヒステリックな人間は、心が醜悪だと言うことです。
このようなタイプは、今までも多くの弱者に対して、暴力的な仕打ちを行ってきたでしょう。
家族、恋人、子供、部下、後輩、級友、見知らぬ弱者などに対して、前科はあるはずです。
ホコリは、いくらでも出てくるはずです。余罪は、無数にあるということです。
一事が万事です。今回の事件で見せた暴力行為は、氷山の一角にすぎないでしょう。

坂本選手は、事件後、直ちに自首すべきでした。
その上で、経緯と自分が受けた暴行の詳細を伝えるべきでした。
反撃は、あくまで自分の身に生死の危険が及ぶ恐怖から発した自己防衛のためであったことをきちんと訴えるべきでした。
そうすれば、情状を酌量され、科罰も軽微であった可能性は高いと考えます。
喧嘩両成敗です。

坂本選手は、50万円の罰金を課せられた上、ボクサー人生を大きく暗転させようとしています。積み上げてきた青春の血と汗の結晶を徒労にし、希望と夢を失おうとしています。
自分に、悪意も、一義的な非がないのにも関わらずです。

坂本選手にはと何とか、一日も早く立ち直って欲しいと思います。
今まで抱いてきた大きな夢に向かって、一歩一歩力強く歩んで行って欲しいと願っています。

先に手を出した方が、絶対に悪い。
司法は、これを徹底させるべきです。