戦後レジーム

「戦後レジームからの脱却」に注視を


「戦後レジーム」という言葉がしばしば政治家の口から発せられます。
「戦後レジームからの脱却」が声高に主張されます。
主に保守的な政治家の方々からです。
中心は、安倍晋三前首相でした。
では、この「戦後レジーム(体制)」とは一体何でしょう?

FQAサイトの「Yahoo!知恵袋」に、この質問をした方があります。
※FQAは、Frequent Questions and Answers、あるいはFrequently Questioned Answers(よくある質問と回答)の略。
その回答の中に見事なものがありました。
本質と要点が、実に簡潔・的確にまとまっています。
紹介します。(→参照

1.大東亜戦争は侵略戦争で、日本人がすべて悪かったとする東京裁判史観。
2.GHQに押し付けられた憲法。
3.アジア諸国に謝り続ける自虐的な弱腰外交。
4.日の丸、君が代を軍国主義の象徴と決め付けて、国家の誇りを失ってしまった公教育。
5.軍隊を自衛隊と言い換える姑息かつ曖昧な考え方。
6.終戦記念日に大手を振って靖国神社に参拝できない内閣。

これらが「戦後レジーム」という一言に集約されているわけです。
当然、ここから「戦後レジームからの脱却」の内実が導き出されます。
この命題の否定によって生まれるものです。
次のようなものです。
番号を対応させます。

1.大東亜戦争は侵略戦争ではなく、日本人が全て悪かったのではないとする史観を確立する。
2.GHQに押し付けられた憲法を脱し、日本独自の憲法を制定する。
3.アジア諸国に謝り続けるのをやめ、自虐的な弱腰外交から脱却する。
4.日の丸、君が代を尊重し、国家の威信を取り戻す公教育を推進する。
5.自衛隊を明確に軍隊と規定し、それに相応する地位と役割を与える。
6.終戦記念日に大手を振って靖国神社に参拝できるような内閣を組織する。

これらはすべて、国威発揚のイデオロギーを中心軸にしています。
国家主義的な愛国主義とも言えます。
国家の存在感を前面に強く打ち出していくということです。
自我の主張、自己肥大と同じです。

自我の主張、自己肥大は攻撃性を伴います。
それは、敵対者を増やすことに繋がります。
「戦後レジームからの脱却」は、国際社会において、他国から敵愾心を招き深める要因を孕んでいるということになります。
そういう負の側面のあることを忘れてはなりません。
もちろん、それは日本国民にとって好ましいことではありません。

また、この中には、ただちに日々の国民生活に影響するものもあります。
とりわけ、5の軍事分野の拡充です。
国防費の増大は、増税を一気に加速させていくでしょう。
そうでなければ、行政サービスが激減します。
福祉、社会保障、医療、教育、防災、生活インフラなどです。

しかも、一旦軍拡競争に参加すると、武力の増強は際限がなくなります。
安心・安全を、完璧に保障する防衛などないからです。
損得もよく考える必要があります。
現実の生活防衛や人権尊重のことです。

要するに、「戦後レジームからの脱却」とは、国民主権から国家主権に転換していくということです。
この場合の国家とは、戦前の国家の示す字義とほぼ同じ内容になるでしょう。
つまり、国家権力のことです。
国家第一とは、国家権力第一ということです。
「国のため」というのは、「国家権力のため」ということです。

「戦後レジーム」の内容を理解しておくことは、これからの政治の動きを見ていく上でも大切なポイントとなるでしょう。
最低限のことを頭において、そこからの脱却を強固に押し進めようとする政治家たちを注視していく必要があります。
その結果が、いつしか自分たちの身に降りかかってくるからです。