サブプライム危機の救済策・1

拡大する金融機関の損失と次々打ち出される救済策


2007年度後半(第2,3四半期)のサブプライムローン関連の損失額は、合算すると約14兆円に上ることがわかりました。(1月23日報道)
米欧日の公表分です。主要金融機関の確定額です。

このうち米国の大手10社の損失計上額は次のようになっています。
(ただし、数値は単位を百億円とする概数。1ドル=110円換算)
            銀行                      証券
  シティグループ          333      シティグループ         275
    バンク・オブ・アメリカ    132       モルガン・スタンレー    119
  JPモルガン・チェース      81      ベアー・スターンズ      31
    ワコビア             54         リーマン・ブラザーズ       17
   ウェルズ・ファーゴ          46      ゴールドマン・サックス     15

日本の金融機関の損失は、幸いアメリカに比べれば1桁少なくなっています。
バブルの失敗に懲り、慎重になっていたのかも知れません。
アメリカ発の証券化バブルに安易に乗らなかったと言うことです。

日本の主要金融機関の損失額を付記すると、次のようになっています。
(ただし、数値は単位を十億円とする概数)
 みずほFG 170 野村HD 145 三井住友 87 三菱UFJ 27 三井信託 19
  
ここで今一度、サブプライム関連の主な指標を確認しましょう。
昨年度(07年度)末期の数値が基準です。(概数)
 全米の住宅ローン(残高は約1,150兆円)に占める割合…14%。
 サブプライムローン残高…150兆円。
 不良債権比率…14%。(住宅ローン全体の不良債権比率は、約5%)
 不良債権残高…23兆円。
 回収不能額(貸し倒れ、焦げ付き)額…13兆円。

※回収不能(貸し倒れ、焦げ付き)額は、担保である住宅などを売却した場合の回収率を50%と仮定した損失確定額です。
多くの場合、不良債権の回収不能率は、およそ下のようになります。
( )内は、各債権の債権全体に対する構成比率。
 破綻先 100%(1%)、 破綻懸念先 60~80%(4%)、 要管理 20~25%(4%)、
※不良債権の総額は、サブプライムローン以外のリスクの高い住宅ローン債権までも含めると、2008年1月時点で40兆円前後に達しているとみるアナリストなどが多いようです。

このサブプライムローンの不良債権化に始まる金融危機は世界に波及しました。
時を追って深刻化しています。
世界的に景気が大きく後退することが懸念されています。
経済状況の悪化です。生活は相当厳しくなることが予想されています。

これに対して、アメリカを中心とする世界は迅速な対応に迫られています。
アメリカを中心とする各国政府は、慌ただしい動きを見せています。
金融界、経済界は、焦燥感を募らせています。

では、これまでこのグローバルな危機に対して、どのような対応策が行われてきたのでしょう。
時間系列で主なものをまとめてみましょう。
07年度後半から、08年1月下旬までのものです。

8月 9日:FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)が金融市場に、
      2日間で23兆円の資金を供給。
8月17日:FRBが公定歩合を0.5%引き下げ、年5.75%に。
9月  6日:ECBが利上げを見送り。(6ヶ月連続で年4%に据え置き)
9月18日:FRBがFF金利を0.5%引き下げ、年4.75%に。(4年3ヶ月ぶり)
10月15日:米大手銀行などが、金融商品の購入基金の設立構想を発表。
12月 6日:イングランド銀行が政策金利を0.25%引き下げ、年5.5%に。
12月 6日:ブッシュ大統領が、住宅ローンの金利凍結(5年間)などを発表。
12月12日:欧米の5中央銀行が、金融市場への資金供給の拡大を発表。
1月 18日:ブッシュ大統領が、16兆円規模の減税策を発表。
1月 22日:FRBがFF金利を0.75%引き下げ、年3.5%に。
        (FF金利の引き下げは、昨年9月から4回連続で、計1.75%)
        また、FRBは公定歩合も0.75%引き下げて年4%に。
        (公定歩合の引き下げは、昨年8月から5回連続で、計2.25%)
1月 23日:ニューヨーク州当局と米銀が金融保証会社(モノライン)救済のため協議。
       金融界に資本増強のための資金拠出を要請。
1月 23日:米上院の銀行委員長が、政府系の「債権買取機構」の設立を提案。
       損失分は公的資金を投入。

上記の対策を大まかにまとめると次の3つに集約できます。
 1.金利の引き下げや凍結、 2.減税、 3.資金供給(資本増強など)

これらについてのコメント(評釈)を、次回の記事で述べてみたいと思います。
救済策に対する私見です。