●月100万円の医療費でも,支払いは9万円?
健康保険制度では,医療費が高額になったときには自己負担限度額が設けられています。
この自己負担の限度額は,次のようになっています。
低所得者 一般世帯 上位所得者
70歳未満 35,400円 80,100円+A 150,000円+B
70歳以上 24,600円 44,400円 80,100円+A
※ A=(医療費ー267,000円)×1%
B=(医療費ー500,000円)×1%
※ 自己負担限度額は,月ごとの医療費に適用されます。
※ 高額医療の対象期間が4ヶ月以上となった場合,4ヶ月目からの自己負担限度額
は,次のようになります。
低所得者…24,600円,一般世帯…44,400円,上位所得世帯…83,400円
※ 表中の低所得世帯とは,市町村民税の非課税世帯などです。
※ 上位所得世帯とは,次のような条件が目安となります。
70歳未満の場合…およそ700万円前後の年収のある世帯。
70歳以上の場合…およそ350万円前後の年収のある世帯。
この基準によれば,例えば70歳未満の一般世帯の被保険者が入院し,ある月の医療費が100万円かかったとすると,自己負担額は次のようになります。
80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%=87,430円
私も、腹部の手術をしたとき、100万円を超える医療費がかかりましたが、実際の支出は、3万数千円ですみました。
低所得者(住民税が非課税の世帯)であったためです。
ただ,入院中の食費は,別途請求されます。これは1食につき,通常は低所得者世帯の人が210円,一般の人が260円ほどになります。
1月入院すれば,およそ2万円程度の負担です。
これ以外にも,大なり小なり諸経費や諸雑費は要するでしょう。
とりわけ,個室などを利用したときの差額ベッド代(1日数千円以上,病院によって異なる)や保険適用外の治療を受けたときなどは,たいてい大きな金額になります。
これらは原則的に任意の利用であり,代金はそのまま自己負担になります。
長期の療養が必要になったとき,医療費と共に最も問題となるのは収入の減少です。
所得保障が十分でない場合は,生活費が大きく不足する恐れがあります。
従って,万が一の場合に備えて,民間の医療保険や医療共済に加入することも検討する必要はあるでしょう。