▲インフレ・デフレと為替レートの関係は?
インフレ・デフレと為替レート(円高、円安など)の因果関係は把握しにくいものです。
そこで、この両者の関係をかいつまんで述べてみることにします。
一般的な場合、つまり主な流れを循環図として示すことにしました。
あくまでも概要であり、太いベクトル部分を表すに過ぎません。
実際の流れは多様に、複雑に変化します。逆行することさえあります。
現実の経済社会では、様々な要因が絡み合うからです。
思惑という、極めて人間的な要素が主役になることさえあります。
他の諸々の経済事象と同様、一筋縄ではいかないと言うことです。
ただ、いずれにしよ、大局をつかんでおくこと、流れを俯瞰しておくことは、意味のないことではありません。
理解を整理する一助にしてみて下さい。
概略を図示すると、次のようになります。
自国通貨安→輸出品の価格低下→輸出増→需要増→製品価格上昇→インフレ
外貨高 \輸入品の価格上昇→輸入減→供給減/ ↓
↑ 外貨安
デフレ←製品価格下落←需要減←輸出減←輸出品の価格上昇←自国通貨高
\供給増←輸入増←輸入品の価格下落/
インフレによって、自国の製品に対し貨幣価値は下落しますが、為替レートが変わっていなければ、外貨からすれば、その通貨、製品は割高になったということになります。
輸出入において、インフレは通貨高と同じ効果を持ちます。(デフレの場合は逆)
ただし、この通貨高は一時的なもので、すぐに通貨安の方向に振れ始めます。
購買力平価(貨幣の実質価値)に大きな差が生じるからです。
これを、ビックマック(ハンバーガー)に例を取って説明してみましょう。
今、アメリカでビックマック1個が3ドル、日本で300円とします。
そして、1ドル=100円とします。
インフレ、デフレによる通貨価値の変動は次のようになります。
※ビッグマックを基準に比較した購買力をビックマック指数といいます。(→参照)
デフレ 現在 インフレ
一個の値段 250円 300円 400円
3ドルの購買力 1.2個分 1個分 0.75個分
為替相場 ドル高(円安) - ドル安(円高)
現在は円とドルの通貨価値は均衡していますが、インフレ、デフレになると、これが崩れるということです。
つまり、購買力平価と為替レートは、乖離します。
そこで、為替レートは、再び購買力と均衡するように上下変動(収斂)することになります。
上の例では、インフレの時は、1ドル=300円が1ドル=400円になるように円安圧力が働き、デフレの時は、1ドル=300円が1ドル=250円になるように円高圧力が働くということです。
多くの場合、直近の状態と以後の動向は逆となります。
現在の円高は、以後の円安を示唆します。
日本の現状を考えてみましょう。
現在、円の価値はドルに比べて相対的に安くなっています。
そのため、日本製品の価格がアメリカにとっては安くなるため、日本の輸出は盛んになっています。
そこで、日本にとっては需要増大の波及効果があり、本来はインフレ圧力が働くはずです。
しかるに一方、円の価値は中国の元に比べて割高です。
そのため、中国製品の価格が日本にとっては安くなるため、日本の輸入は盛んになっています。
そこで、日本の国内には安価な商品の供給が増え、デフレ圧力が働きます。
この輸出によるインフレ圧力と輸入によるデフレ圧力の大きさを比較すると、現在後者の勢いが勝っています。
そこで、日本の国内では、緩やかなデフレ状態が続く大きな要因になっているのです。
ただ、これからは、石油など天然資源、穀物を中心とする食材料の輸入品価格の高騰が予想されるので、デフレ状態は一気に解消し、来年(2008年)以降、日本の経済はインフレ化することが予想されます。
ちなみに、現在、ドルは円に対して割高(円安)なので、これからはドル安(円高)により強い圧力が働く可能性が高く、また、元は円に対して割安(円高)なので、これからは元高(円安)により強い圧力が働く確度が大きいといえます。
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