経済の波

▲経済には,必ず大波小波がある



経済は絶えず動いてます。日々動き,月々動き,年々動いています。
良いときもあり,悪いときもあります。上りの時もあり,下りの時もあります。
それは,人生と同じです。
この動きは,波のようになっています。
刻々と変化する小さな波の連続は,大きな波動を作り,さらにその波動の連続は,一段大きなうねりを作っています。
この波を,経済学的には景気循環,あるいは景気変動といいます。


この波は,その期間(周期)によって,通常,次の4つに分けられ,とらえられます。
 1.短期波動(キチンの波)…約40ヶ月周期の循環。主に企業の在庫変動に
    よる。
   ※ 供給(生産)と需要(消費)の大きさの差が在庫量に反映します。
   ※ 企業は,在庫によって,供給量(生産量)を調整します。
 2.中期波動(ジュグラーの波)…約10年周期の循環。主に設備投資による。
   ※ 新しい設備を導入する企業が多くなれば,景気はよくなります。
   ※ 設備の耐久年数には,一定の期間があります。
 3.準長期波動(クズネッツの波)…約20年周期の循環。主に建築需要による。
   ※ 建築物の耐用年数や,世代交代もその背景にあると考えられます。
   ※ 準長期波動は,通称ではありません。
 4.長期波動(コンドラチェフの波)…約50年周期の循環。主に技術革新による。
   ※ 大きな技術革新には,蒸気機関,紡織機,鉄道,自動車,航空機,コンピュ
    ータ,インターネットなどがあります。


経済が循環することは,株価の動きを見るとより鮮明に分かるでしょう。
経済の状態を映し出す鏡だからです。
むしろ,実際の動きより,一層敏感に,神経質に,過剰に反応しています。
株価は,数時間毎,数日毎に,数週間毎,数カ月毎,数年毎に,比較的はっきりした波があります。


上り坂の時は,たいていのことがうまくいきます。
下り坂の時は,何をやってもうまくいかないものです。
その意味で,上り調子の時に政権を担った政治家は,彼らが凡庸であり,無策であっても,景気を上昇させ続けることができるでしょう。
従って,彼らは高い評価を受けることになります。


逆に,下り調子の時に政権を任された政治家はどうでしょう。
彼らが優秀であり,最適な経済政策を行っても,景気の悪化を弛めることが精一杯になります。
後退を上昇に反転させることは,人為では無理でしょう。
従って,彼らは低い評価を受けることになります。


経済の持つ巨大なエネルギーと大きなうねりに対し,政治家や政策には,それを大きくコントロールする力はないと考えてよいでしょう。
上昇期に政権を担った政治家は幸運であり,下降期に政権を担った政治家は不運であるとも言えます。
多くの場合はそうです。
政策の適否や政治家の能力を評価する際には,このような視点も必要でしょう。


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